モバイルマルチメディア通信研究室には,”ひとにやさしい情報通信環境を目指して”,というスローガンがあります.ひとにやさしい情報通信環境とは,ひとがコンピュータを意識することなく情報通信サービスを利用できる環境を指します.ひとがコンピュータを意識しないという概念は,ユビキタスコンピューティングの父と呼ばれるマーク・ワイザーによって提唱されました.当研究室では,この概念を人間中心(Human-centric)の知的情報通信システムによって実現できると考え,幅広い観点から研究活動を行っています.
人間中心の情報通信システム
人間中心の情報通信システムとは,ユーザが必要とする,あるいは,ユーザにとって有意義な情報サービスを提供するシステムです.これによって,ユーザは満足度の高い情報サービスを利用することが可能になります.しかしながら,必要な情報や有意義な情報は個々のユーザによって異なりますので,ユーザによってカスタマイズされたサービスが求められます.この課題を解決するためには,コンテクストアウェア・システムと知的情報通信システムが不可欠です.
コンテクストアウェア・システム
コンテクストとは,ここではユーザを取り巻くあらゆる情報と定義します.例えば,時刻,場所,明るさ,温度,湿度,予定,使用しているデバイス,一緒にいる人,ユーザのプロファイルなどを指します.コンテクストアウェア・システムとは,IoT(Internet of Things)技術やAI(Artificial Intelligence)技術を用い,ユーザを取り巻く情報を自動的に検知・取得し,ユーザの現在の状況を正しく推定するシステムです.
知的情報通信システム
知的情報通信システムとは,ユーザの現在の状況をもとに,ユーザが必要とする,あるいは,ユーザにとって有意義な情報を,AI(Artificial Intelligence)技術などを用いて正しく推定・決定し,適切なタイミングかつ適切な方法で提供するシステムです.
おもな研究テーマ例
“ひとにやさしい情報通信環境を目指して”,というスローガンを実現するため,以下のような研究を進めています.詳しくは,
研究室メンバー(卒業生)のところに掲載されている卒業論文テーマ,修士論文テーマ,博士論文テーマをご参照ください.
- 人工知能技術を用いた情報通信アプリケーション
- 生体情報を用いたユーザの特性・感情推定
- ひとにやさしい直感的ユーザ・インタフェース
- 感性を利用した快適な知的情報環境
- ユーザ満足度の高い情報通信サービス品質
- 原音の忠実再生を目指した満足度の高い音響環境
- IoT技術を用いた障碍者支援システム
- 視聴覚臨場感を実現するためのメディア技術
- SNS情報を用いたユーザの感情推定
- ユーザの理解度把握に基づく遠隔授業支援システム
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マルチメディア情報通信制御システム |
振動を用いた情報通信システム |
盲目者のための歩行支援システム |
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スマートフォンのような小型デバイスをクリックするだけで,映像のみ,音声のみ,または,その両方を他のマルチメディア再生デバイスに転送できます. |
スマートフォンAおよびBをテーブルの上に置くと,Aが発するバイブレーションがテーブルを伝わってBに届き,それと同時にデータも転送されます. |
盲目者が歩行する際,サンバイザーに取り付けられた超音波センサによって障害物を検知し,その場所をお知らせして歩行をサポートします. |